しゃぼん玉
「お母さんの大学時代の友達にね、そういう夫婦がいるの。
結婚してもう20年になるけど、その夫婦には子供がいなくて、だけど、今も二人で仲良く暮らしてるのよ。
毎年、年賀状もくれるの」
菜月はメイのそばからゆっくり離れ、リビングのサイドボードから年賀状を保存してあるファイルを手にして、戻ってきた。
ソファーに座り、ファイルを数枚めくると、一枚のハガキを取り出す。
それは、ある一組の夫婦の写真入りの年賀状だった。
菜月や大成と同じ歳くらいの男女が、手をつないで微笑している。