△~triangle~
11 遠き夢(蓮)
……夢を見た。
それは遠い、遠い昔の懐かしい記憶。
……眩しいシャンデリアに照らされた長い廊下。
その美しく少しだけ切なく感じる光の中を、スーツ姿の男の後を追う様に歩き続ける。
そのまま歩いて行くと、赤い絨毯の敷かれた長い廊下の突き当たりに、黒く大きな扉が姿を現した。
「本当に……いいのか?」
彼は微かに僕を振り返ると、少し悲しそうに瞳を揺らして僕にそう問い掛ける。
「はい」
真っ直ぐに彼の瞳を見つめたまま短く答えると、彼は自嘲気味に笑って黒い扉を押し開いた。
するとそこには華やかで眩い光景が広がっていた。
美しいドレスに身を包んだ女性達に、高級そうなスーツに身を包んだ男達。
白いレースのテーブルクロスが敷かれた長いテーブルには、まるで芸術品の様な料理が並んでいる。
そんな華々しい室内にそっと足を踏み入れると、そこに居た皆の視線が一気にこちらに向けられた。