△~triangle~

『いってきます』

ノラはそう言って笑った。

それはまるで太陽の様に眩しく、そしてとても美しい笑顔。

そんな彼女の姿を茫然と見つめると、彼女はまるで俺の答えを待つかの様に小さく首を傾げて見せる。

『……いって……らっしゃい』

そう擦れ、震える声で呟くと、ノラはまた眩しい笑みを浮かべてコクリと頷いた。

『いってきます』

ノラはもう一度そう繰り返すと、そのまま俺に背を向け、廊下を進んで行った。

その離れて行く愛しい彼女の背中を見つめたまま……思った。

俺の……俺達の本当の望みを……彼女は知っていると。
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