△~triangle~

「……うん」

それだけ呟きギュッと父に抱きつくと、父は優しく私を抱き締め返してくれる。

それと共に忘れていた幼い頃の父の記憶が蘇り、それに小さく笑みを浮かべた。

……どうして私は気付かなかったのだろうか。

私はいつもこの人に守られ、そしてこの人の《愛》を受けて生きてきた。

そう……この不器用過ぎる愛に守られて。

「いつでも帰ってきなさい。ここは……お前の《家》だ」

その父の言葉に、涙を流したままそっと顔を上げる。

すると父の人形の様に無表情のはずの顔に、優しい微笑みが浮かんでいる様な……そんな気がした。
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