△~triangle~

『……蓮』

そう小さく彼の名を呼び、俺の頬に手を触れる彼を、そっと見上げる。

『明は何も悪くない。だから……泣かないで』

そう言って彼は涙を流したままニッコリと笑うと、それから優しく俺の流す涙を拭った。

『明は何も悪くない。……何も悪くないんだ』

蓮はそう何度も繰り返すと、穏やかな笑みを浮かべたまま、静かに俺を見つめる。
< 407 / 451 >

この作品をシェア

pagetop