△~triangle~

「……ただいま」

そう重なる様に聞こえたその二つの声に、少女の瞳にジワリと涙が滲んだ。

しかしそれが彼女の頬を伝う事は無く、少女は真っ直ぐに《彼等》を見つめたまま、深く頷いた。

そう……彼女は知っていた。

必ず《二人》は……《この部屋》に帰って来るのだと。

「なんか二人とも……大人っぽくなったね」

清々しい笑みを浮かべる《二人》を見て、少女はニッコリと笑う。

するとクスリという吐息を共に、《……ノラもね》と……また、二人の声が重なって響いた。
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