△~triangle~

「やっぱり蓮のご飯って美味しいよね。よかった~、帰って来てくれて」

そう言ってノラはホッと息を吐くと、嬉しそうに笑みを浮かべて見せる。

「あれ、そういえばノラ、料理練習してたんだろ?ちょっとは上手くなったのかよ?」

その明の問いに、ノラは微かに眉を顰めて、明からそっと視線を逸らした。

「……ま、前よりもマシだとは思うけどね。あ、でも!野菜を切る技術は、前よりも進歩したんだから」

ノラがそう言って自信満々に胸を張って見せると、明はケラケラと小馬鹿にした様に笑う。

「へぇ、それは楽しみだ。じゃあ今晩の夕食は、是非、ノラ様の作ったカレーライスで」

「……ええ~!?」

明の要望にノラは困った様に声を上げると、眉を顰めたまま僕を見つめる。

「僕も楽しみだな。ノラの刺激的なカレーライス」

そう言ってニッコリと笑みを向けると、ノラは深い溜息を吐いてガクッと肩を落とした。

そんな一年前と変わらない会話に、何故だか心が弾む。
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