リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「小杉さんも、今度、絶対、参加してください。声掛けますっ 絶対っ」
「ありがとう。楽しみに待ってる」

うん。
そう頷きながら、思わぬところから現れた同志に、明子は顔を綻ばせた。


(女子会、かあ)
(そういうの、いつ以来だろう)
(というか、女子会なんて言葉を聞くようになってから、女子だけで飲み会だのご飯だのなんて、行ってないかも)


楽しそうだなあと、その光景にワクワクしながら、それならばと紀子に尋ねた。

「二月末の土曜の昼公演、一枚ならチケットあるんだけど? 行く?」

行けそうなら譲るけど。
続けられた明子の言葉に、紀子は小躍りするように喜んだ。

「行きたいですっ いいですか? 一緒に行く方の知り合いとか」
「いないの。一人で行くつもりで取ったから。それでいい?」
「全然、オッケーですっ 行きたいですっ いいんですね? ホントに?」
「だって。隣の男の子が、こうやって、許しませんって怒ってるんですもの」
「当たり前です。そこは木村を選んでください。木村を捨てて、他の男に走るなんて許しませんっ」

むうっと、まだ腕を組んで、怒っている顔を作っている木村の言葉に、その通りだと牧野も囃したてながら笑う。
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