リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
【高杉兄弟の一週間 金曜日】

「あ?」
「だからっ、一キロっ、落ちたっ」
どうだ、俺だって少しは頑張ったんだぞっと、胸を反り返す隆弘に、いい年したおっさんが何を子どもみたいなことを言ってるんだと、弘明は額に手を当てて項垂れた。
「ねえ。あれ、どんな料理でも使っていいの?」
肩を落としている弘明に、文隆はまあまあと宥めるように声を掛け、話を変える。文隆の暢気な声に、弘明は気を取り直したようにそうだなあと考えるように腕を組み、それに答える。
「大量摂取は逆に体に悪いから、使いすぎには注意な。まあ、サラダのドレッシングとか、炒め物とか、ウチで使うならそんなとこだろ」
「だね。揚げ物だの、手の込んだ料理なんて、オレやあき兄にはムリだし。たか兄なんか論外だしね」
「お前、手荒れとか酷いときは、寝る前にアレ少し手に塗ってみるといいかもしれないぞ。保湿効果が高いらしい」
「ベタベタしないの?」
「あれは大丈夫。あとで手に付けてみろ。さらっとしてるから」
「へえ。今度やってみる」
「なあ」
二人の会話に首を傾げるようにして、隆弘が割り込んだ。
「ドレッシングって、自分で作れるものなのか?」
その言葉に、あちゃーっと呻くような声をあげ明文は天を仰ぎ、弘明は目を据わらせて隆弘を睨み、文隆はそこからかあっと言いながらけたけたと笑い転げて。
そこで番組はCMに切り替わった。
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