キスはおとなの呼吸のように【完】
帰れといわれなくて、わたしは内心ほっとした。

ここで解散ではなく、交渉の第二ラウンドがある。

社長室にとり残されたわたしと大上先輩は、情報収集のため視線だけをあちこちに走らせた。

フロアから丸見えのスケルトンの部屋であるため、おおっぴらにきょろきょろできず、もどかしい。

おまけに社長室にはソファと社長用デスク以外になにもなく、まったく情報を拾えなかった。
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