キスはおとなの呼吸のように【完】
「わかりづらいよ。カズト」

カズトもわたしの目を見つめる。
黙るだけで、なにも言葉を口にしない。

けれど、カズトの考えていることがそのときのわたしには痛いくらいにつたわった。

わたしはうまいいいわけができない代わりに、カズトのくちびるに自分のくちびるをおしつけた。

いつかカズトがわたしの心をほぐしてくれたときのように。

今度はわたしが、カズトのなかにはいっていき、カズトの心にふれる番だ。
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