ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
いつもなら海を眺めて待つけど、今日は歩道に繋がる階段の方ばかり見ていた。


久しぶりに会うから、何だかドキドキしてしまう。


喜びや楽しみが混じった幸せな感情を抱えて待ち続け、約束の時間の十分前になった時──。


「雪ちゃーん!」


歩道を歩いて来る雪ちゃんを見付けて、思わず笑顔で叫んだ。


あたしに気付いた彼が笑う。


いつもなら、そうなるはずだった。


だけど……。


「……雪ちゃん?」


今日は雪ちゃんが笑顔を見せてくれる事も、大きく手を振ったあたしに応えてくれる事も無くて、右手が行き場を失くしてしまった。


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