カラス君と黒猫さん2




そうだ。思い出した。

こいつ、この前も階段に溜まってて、同じ様なこと言ったらキレた奴だ。
それで私この前階段から落とされたんだ、確か。

その時こいつのせいで仕事ほとんど潰れたんだった。



「何ぃ?聞こえなーい」

「声小さいから分かんなーい」


真っ黒な人口睫毛が、こちらを睨んできた。


「聞こえないの?どけってんだよ。そんなドカ座りしてたら痔になるよ?あぁ、もしかしてもう患い中?ごめんね」


ファンデーションで真っ白に塗られた顔が、赤くなった気がした。
そいつが立ち上がる。



「手前ぇ調子こいてんじゃねぇぞ!!」


私より高い背で、睨んでくる。
見下ろされるのは慣れてんだよ、痔患い。



「あれ?こいつカラス君の彼女じゃね?」


座ったままの仲間が私を見て、そう言った。


「あ、あの噂になってる“ブラックカップル”?」

「こいつだったの?カラス君の彼女ってぇー」



(“ブラックカップル”・・・・・・・そんな命名になってたの)


一瞬そんな事に気を取られつつ、そいつを睨み返した。



「何でこんなのをカラス君は選ぶのかねー?」

「もっと良い人居そうなのにねぇ」



女子特有の嫌なオーラを出しながら、やっぱり階段からどこうとしないギャル。

授業開始の予鈴が鳴った。




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