恋人は王子様!?



「菫ちゃん」


「はい」


野崎先生


「今から帰るの?」

「はい」


「ちょっとお願いがあるんだけど」


「はい?」


お願いって…何?


「蓮見先生ね、もう帰られたんだけど…忘れ物しちゃったのよ」


「……」


「明日から休みだし、学校に来ないし…新学期までに目を通してもらわないといけないのよね」


「はい」


「私も島先生もちょっと用事があるし行けないのよね」


「はい」


「だから…菫ちゃん、悪いんだけど届けてくれない?」


「えっ?」


「お願い」


「篠原、俺からも頼むわ」


島先生…


「わ、分かりました。お届けします」


「ありがとう…あ、制服じゃ寒いから着替えて、温かくして行きなさい。風邪引かれたら困るから」

「うん、そうだな。日の暮れるのも早いし、危ないから送ってもらえ。電話しとくから」


島先生…野崎先生…


「は、はい。そうします」


「じゃあ これが書類と、住所や電話番号を書いた紙ね」


封筒を受け取り


「はい…失礼します」


そして小声で


「ありがとうございます」


二人とも…


「うん?」


って云ってるけど、ニコニコしてる。


「じゃあ さようなら」


そして再び小声で


「お二人も楽しいクリスマスを」


「篠原」


「菫ちゃん」


赤くなってる。


フフフ…


裕ちゃんとクリスマスに逢えるなんて…

島先生と野崎先生からのクリスマスプレゼントだ。


急いで家に帰り、着替えを済ませ


お母さんに事情を説明して、裕ちゃん家に向かった。




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