恋人は王子様!?



裕ちゃんの番号を、震える指で押す。


RURURU…


呼び出し音が続く。

早く出てよ。


RURURU…


いや、出ない方がいいかな。


RURURU


カチッ!


「菫…」


ちょっとハスキーな裕ちゃんの声。


「……」


「菫?」


「あっ、はい、先生…何か用ですか?」

こんなつっけんどんな言い方しか出来ない。


「……」


「先生?」


「島先生が、菫の顔色が悪いって云ってたから」


「大丈夫です。帰って少し眠りましたから」


「フッ…俺、菫の事なら何でも分かってると思ってたけど、島先生の方が分かってんだな」


「?」


どういう意味?


「島先生と親しいのか?」


「島先生ですか?一年からの体育の担当ですけど」


「…それだけ?」


「はい。それだけですが…どうかしたんですか?」


「フッ 俺、カッコ悪いな」


「へっ?」


裕ちゃんがカッコ悪いって?


「俺…菫が親しくしてる男みたら、片っ端から嫉妬してる」


「はいー?」


嫉妬って…何で、裕ちゃんが嫉妬すんの?


「俺の知らない二年半の菫を知ってると思うと」


「……」


「菫」


「先生」


「ん?」


「ど、どういう意味?」


「…分からない?」

「……」


「…お前、あんがい鈍いんだな」


!!?


鈍い…って私…


…鈍い…鈍い…ガキ…ガキ…


い、嫌、嫌だ!


……






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