恋人は王子様!?



「菫」


「はい」


「まだ、丁寧語で喋んのか?」


「…けじめです」


「けじめか…真面目だな」


「…また馬鹿にしてますか?」


「ん? なわけないだろ。お前…俺の言葉を何で屈折して取るんだ?」


「だって、だって…裕ちゃん 意地悪だから」


ん…裕ちゃん?


「菫」


「裕ちゃんの云う事…信じていいのか、わかんない。信じたら…また…前みたいに…」


菫が…泣きだした。

堪えていたのが一気に…


「菫」


「裕…ちゃん…なんか…嫌い…」


「ん」


そっと抱き寄せる。

「ヒック…ヒック…」


「菫……ごめん」


菫の髪を撫でる。


「…裕ちゃん…私」

「ん?」


「鈍い…ガキじゃ…ない…よね? 裕ちゃんの邪魔…してる…なら…邪魔って…云ってよ…ヒック…嫌いなら嫌いって…云ってよ…ヒック…そしたら…補講も…断るし…裕ちゃんの…目に…ヒック…触れないよう…する…から…ゥゥウワ―――」


そこまで思い詰めてたのか?


「…菫…邪魔なんかじゃねえから。…鈍いガキでもねえから…ましてや嫌いなんて絶対ありえねえから…お前は…姫だから」


俺の大事な大事な姫。



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