Dear.幽霊の君。

「でも、消える前に一回だけ」
「・・・え?」
「一回だけ、またチューしていい?」

消える前に、一回だけ。

その言葉が、異常に重かった。

「いいよ。消える前に・・・ね」
「今のうちにもう一回しとこ」

ぷちゅっ

幼稚園児のチューみたいに、
音を立てて少しだけ唇が触れあった。

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