秘密のキスをしたとしても。


ごめんなさい、と焦りながらその場から避ける。


入り口からも見えない死角だからこの場所を選んだのかな…、この人。


なんて思いながらポカンとしていると、逆に男の人が目を丸く見開いた。


「なんで…泣いてんの?」


「え?あ…」


無意識に両目からポロポロと涙が溢れ出ていた。


それを見て男の人はビックリしたのだろう。…自分もビックリしたけど。


「いや、目にゴミ…」


なんて苦しい言い訳をしながら目を擦る。


「まぁ、別に触れないけど」


男の人は興味無さそうに言い放ち、地面に寝っ転がって目を瞑った。


…なんだろ、この人。


猫みたい、なんて思いながら男の人の眺め、立ちすくしているとぱちっと目を開く男の人。


    




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