恋の施し


「じゃあ、まずは恋を教えてやる前に1つ条件がある」




そんな雪音の姿が見えなくなると、郁が見計らったように私を真っ直ぐに見つめて言ってきた。



この時、やっぱり郁に相談して良かったなぁと思う。


郁は絶対に私の気持ちを笑ったりしない。裏切ったりもしないんだ。





「うん、何でも言って」




そう言うと郁はニヤリと笑い、私の肩に腕をのせて至近距離でこう言った。




「俺を好きな奴だと思って接してみろ」




「…え、いや、無理だよ。
郁は郁だし」




私は即答した。
郁の事は好きだけど、そういう好きではないのだ。




「でも、響花は俺以外男慣れしてないだろ?」




「確かにそうだけど…

だから何?」





郁の言いたい事がイマイチ分からず、ピンとこない。
< 11 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop