男の娘だって狼です【ONLOOKER番外】




「それよりあんた、寮入りは?」
「あ、今日です」
「一ヶ月も自宅からって、大変だったんじゃない?」
「そっすねぇ……最初の一週間とか、毎日迷ってましたもん。どの電車に乗ったらいいのかもう全然わかんなくて」
「それは迷いすぎ」

転入が決まってからが急だったためか、すぐ近くに学生用のアパートもあるが、鳴海はずっと自宅から登校していた。
準備期間だったのか、なにかトラブルでもあったのかはわからないが。

やっと寮入りが決まって、今晩荷物を運ぶことになっている。

「それにしても、準備かかりすぎですよねー。空いてるとこなかったのかな?」
「え?」

同室誰かなぁ、知ってる人だといいなぁ、なんて呑気に考えていた鳴海には、知るよしもなかった。

かなり特殊な、『同室』の、存在を。




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