霧の獣

記憶の中




俺は気が付くとまわりの景色が変わっていたので驚いた。


(ここは?・・・何処なんだろう??
俺は確かさっきまで森の湖に居たはずなのに・・・)
そんな事を考えてみるが、
俺は今自分が何処にいるのか全く分からない。



見渡す限り木ばかり生えているが、
太陽の明るい光が差している。

どうやらここは森の中の様だ。



〈今あなたが居るのは、光の神子だったときの記憶の中です。〉
炎雅の声が頭に響く。



〈元々我の力はあなた方、光の神子の持っていた力の一つだったのです。
我が今から、神子にのみ教える事を許された、
人間の知る事のない霧の物語をお話ししましょう。〉
炎雅は言う。



「人間の知らない物語?
俺はその話なら村にいたときに聞いた事がある。
神が滅ぼされて、霧が生まれたって話しではないんですか?」
俺は問う。



〈一般的に人間に知られている話は
神が人間と幻獣によって滅ぼされたとしています。

しかし、実際は全く違うのです。

人間は自分の欲を満たすために色々なものを
“死”
の色に染めました。

神は憎しみ悲しみによる負の感情に悩みました。

そして悩んだ末に神は自分に残った正の感情で
光の神子を3人作りました。

闇の子はその時に反動で生まれてしまったのです。

神はその後自らを闇の王としたのです。

以来、神は自らを闇王【やみおう】と名乗り、
人々はダークキングと呼んだのです。

神は長い年月を経て闇の霧を作り出し、
今まで自分を苦しめ続けてきた人間に、
復讐しようと多くの地に霧をまき散らしたのでした。

多くの幻獣を従えし闇王は幻獣に人を襲わせました。

我らは元々光の子に与えられし力でしたが、
光の神子たった3人の力では闇王に勝つ事など出来るわけもなく、
我ら力の妖精はこの地に飛ばされてしまったという訳なのです。〉
炎雅の話しはそこで終わった。







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