カフェオレ

「アイシテル、か…。」

叔父さんに聞こえないくらいの、吐息のように小さい声で呟いた。


『愛してる』なんて言葉、使い方を忘れてしまいそうだ。それくらい長い間、その言葉を使っていない。

私が最後に『愛してる』と言ったのはいつだっただろう?


確か結婚する少し前だった。遥斗が、大学時代の後輩の女の子の相談にのっていた時だ。

私は偶然、二人で歩いている姿を発見した。
そしてあろうことかその女は遥斗に寄り掛かり、抱き着く形になったのだ。

その夜私は狂ったように遥斗を罵った。

悔しくて悲しくて、私はボロボロに泣いた。
そんな私を優しく抱きしめた遥斗。

その時の温かい遥斗の胸に、私は「愛してる…」と呟いたのだった。
< 15 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop