カフェオレ

グラスを磨き終えた叔父さんは、白いお皿を磨き始めた。
柔らかそうな布で丁寧に磨いていく。


「叔父さん。」

「なんだ?」


また、目を合わせないままで叔父さんは返事をする。

私は叔父さんの横顔を見つめる。整えた髭が渋い。


「夫婦って、曖昧な表現だよね。」


そう言うと、叔父さんはチラリと私を見て、またお皿に視線を戻した。


「どうしてそう思う?」


私は、だって…、と濁しながら言葉を探す。


「一緒に居たくて夫婦になったの。でも私、今、独りだわ。」


叔父さんは、そうか、とだけ言ってお皿を磨き続けた。
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