コルニクス

すると、中にいた怪我人は「よう!オルビス!!」と、なんとも患者らしからぬ陽気な声を発した。

「大佐直々にお迎えとは嬉しいねー」

「…容態は」

大佐殿は苛つきを隠せないといったような声で俺に聞いた。

「右腕を深めにかすっただけ…かな」

深めにかするって何だ。かするっていうのは浅いものに使うんじゃないかと言った後ですぐに後悔した。

打ち身とか靭帯損傷とかも付け加えたほうが良かったか?

「何だ。俺が引き取りに来るほどのことでもなかったな」

大佐殿は安心したような呆れたような溜め息を漏らした。

「無事なら無事ともっと早くに連絡しろよ。それだけまあまあな傷なら尚更な」

「心配した?」

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