高天原異聞 ~女神の言伝~

「……言うまで、待つの?」

「うん。いつまででも、俺は待てる」

 美咲は大きく息をついた。
 正直に言うしか、ないようだった。
 今更好きじゃないなどと嘘をついても、慎也には通じないのはわかっている。
 そして何より、好きじゃない振りをするのがもう嫌だった。

「……好きよ……」

 小さな声だったが、慎也はとても嬉しそうに笑った。
 その笑顔に、美咲の胸はますます高鳴る。

「俺も好きだよ。美咲さんが、大好きだ」

 言いながら、慎也は美咲の手を自分へと引き寄せた。
 引き寄せられる手と一緒に身体が傾いだ。
 抗わなかった。
 唇が重なったとき、昨日のような喜びに美咲の身体が震えた。

 自分も、キスしたかった。
 昨日のように甘く優しいキスを、もう一度してほしかった。

 静まり返った空間で、何度確かめても足りないように、二人はキスをした。






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