高天原異聞 ~女神の言伝~

 大気に満ちる神気もまた、悲しみに打ち震えていた。

――女神の悲しみが、伝わる。

――我らの女神が悲しんでいる。

――記憶が戻りかけているのか。

――彷徨える神が、女神と出会ったぞ。かの神は我らの味方か?

――女神の御味方か?

――わからぬ。

――護らねば。

――女神の悲しみは我らの悲しみ。女神の望みは我らの望み。

――女神の望みを叶えるために、我らは目覚めた。

――護らねばならぬ。我らから女神を奪おうとする全ての神から。





< 76 / 399 >

この作品をシェア

pagetop