TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「ねえ、更沙。どうして集会なんてやるのかなぁ」
「分かんない。だけどなんかすごく嫌な雰囲気」

異様なほどの静けさだった。
いつもはみんな、耳を塞ぎたくなるほどの音量で騒いでいるとのいうのに。

けれどそれもそのはずだった。
周りにはスーツの軍団。
みんな気を緩めて笑い合える雰囲気ではないのを悟っていたのであろう。

「あーあ……早く帰って読みかけの漫画読みたいなぁ」
「そんなことはどうでもいいから。……ほら、なんか演台に誰かいる」

気が付けば演台にでかでかと立っている人がるではないか。
わたしと舞香はゆっくりと腰をおろし、演台に立っている人をしっかりと見た。

顔の大部分を隠すサングラスに、体形には似合わないピシッとした黒いスーツ。
きっと年齢はいっているんだろうな、と思うような髪の薄さ。
そうやってわたしが男を観察していると、小さな唇が動いた。
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