TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「ああ、腕の、取っちゃいましたか。まあいいでしょう。とりあえずそこに並んでもらえますか?」

喋り方は落ち着いているのだが、なぜか命令されているような気がしてならなかった。
だけどなぜか従わなくてはいけないと本能が訴えるので、わたしたちは仕方なく一列に並んだ。

「先生、全員で何人いるんですか?」
「わたしを含めて二十八人です」
「へえ、意外に少ないですね。いま増加中だという中学生なのに」
「少し特殊なクラスなんです。このクラス以外のクラスは、四十人ほどです」

杉村の問いかけに先生が対応した。
こんな状況でもまともに返事をできる先生は、本当にすごいと思う。

杉村は顎の髭を無意味に触りながら、思い出したように呟く。

「そういえば問題児を集めたクラスだと言っていましたね。まあ、ちょうど薬も二十八種類ですし、別にいいんですけどね」
「薬?」

少し雰囲気が揺らいだ。
杉村の言葉の中に出てきていた薬というワードに、みんなは恐れながらも何のことかを知りたがっているように思えた。
それを悟ったのか、杉村が朗らかに微笑んだ。
< 28 / 213 >

この作品をシェア

pagetop