TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「ちょっと舞香!」

無闇に立っちゃ駄目だよ。
杉村に近付いちゃ駄目だよ。

そう言おうと思ったけれど、その言葉は一瞬にして脳内から消えた。

血の気のない先生の顔が見てしまったのだ。
いつも元気よく働く口はしっかりと閉じられ、生き生きとした目も閉じられている。

分かっていた。
杉村のその言葉は先生の死を意味しているということ。

だけど認めたくなかった。
だけど確認してしまった。見てしまった。
先生が死んだなんて、信じられなくて、信じたくなくて。

気付けば男子も女子も構わずに先生を囲んで泣いていて。
それなのにスーツ集団は先生を乗せたストレッチャーを体育館の外に運んでしまって。

泣いて、叫んで、止めてよと勇気を振り絞って反抗したけれど、無視された。

先生がいなくなっても、みんなはばかみたいに泣いていた。
普段は強がって馴れ合いを好まない奴も、みんな。

そんな中わたしは、ただ独りその事実を受け入れたくなくて、零れそうになった涙を必死で抑えていた。
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