TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
教室に入ろうとする瞬間、背中に妙に温かいぬくもりを感じた。
驚いて振り向くと、友人の舞香がわたしの背中に抱きついていた。
わたしは溜め息と共に、舞香に注意する。

「後ろからやるのは、やめてっていつも言ってるでしょ?」
「いいじゃん。女同士なんだし」
「いや、そういう問題じゃなくてね」

わたしたちがそんな他愛ないな会話を交わしていると、もう教室の中には大半の生徒が集まっていた。
まだ授業開始まで五分くらいはあるというのに、全員席に着いている。
久しぶりにこんな真面目な姿を見たので、一瞬幻かと思ってしまった。

わたしは舞香の背中を無理矢理押しながら教室に入った。
すると黒いスーツに身を包んだ大人たちが、教室を囲むように立っていた。
こんなに教室が静かなのは、この人たちのせいか。

わたしたちクラスの人数くらいはいるだろう。
なんとも恐ろしい光景だ。
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