TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「食欲がある人なんて、きっといないよ。……ほら、みんな残してる」

そう小さく呟きながら、くいっと顎でわたしの後ろを示す。
わたしは何も考えずに振り向く。

「精神がもうぼろぼろだよ。疲れてる」

そこに広がるのは、飢えたクラスメートの群れ。
みんな力尽きたようにその場に項垂れている。
目は虚ろで、どこを見ているか分からない。

あれ? あれれ?
なんでこんなになってしまったの?
いつのまにこんなになってしまったの?

疑問が溢れ出す。
わたしは答えを求めるかのように舞香の瞳を見据えた。

「毎日死と向き合いながら、たくさんの人に監視されながら、いつ自分が死ぬか分からない状況に立たされて……元気な人がいるわけないよ」

そんなわたしに、舞香は悲しそうに目を細めてそう言う。
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