LAST EDEN‐楽園のこども‐
名門の青蘭と言えども、髪を染める生徒は皆無ではない。


うっすらと化粧をし、短いスカートをはいて、休み時間となれば携帯電話をいじる女子もいる。


けれど、彼女たちは別に大人や学校に反抗しているわけではない。


叱られれば反省し、テストの点が悪ければ、次のテストでは挽回しようと必死に勉強する。


基本的には、そういう素直で真面目な生徒たちばかりであり、だからこそ、涼のように誰ともつるまず、教師にも懐かない人間は、素行不良として浮くのであった。


「バカで悪かったな」


ムッとしたように那智が言う。


「誰かさんの戻りが遅いから、探しに来たんだよ。ここはあたしの縄張りじゃねーし、お前も面割れてるし、何かあっちゃマズいと思ってな。それなのに、当の本人は人の気も知らず、のん気に変な男と一緒ときた」


変な男と呼ばれた真斗は、身を乗り出して抗議の口を開きかけたが、那智の眼光の迫力に気おされ、静かに引き下がる。
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