先パイとあたし

次の日から、みんなの言うとおり、いじめの標的はタカトから俺へと変わった。

それでも俺は良いと思ってた。

タカトさえいてくれれば。

この時の俺は、本気でそう思ってたんだ。

でも、そう思ってたのは俺だけだった。

俺へのいじめが始まって、何日かたったある日。

クラスの奴らがタカトに言ったんだ。

「おいタカト!
お前のせいで柊哉がいじめられてんだろ!
柊哉のこと助けろよ!お前ら、親友だろ!」

タカトは俺のほうを一切見ることなく、

「...俺には関係ない。」

そう言い放った。

「あんな地獄はもうごめんだ。
俺は”助けてほしい”なんて一言も言ってない。
柊哉が勝手に俺を助けただけだろ。」

タカトの声は、今までになく低かった。

これが、タカトの本音なんだ。

「お前、最低だな。」



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