キミのとなり。
「なっなんなんですか!?ってか、なんで追い掛けてくんの!?」



「そっちが逃げるからだろ!」



「そりゃ逃げるでしょ!後付けられたら誰だって……。」



「付けてねぇ!……ってか俺もここの住人だし!」



「あっ……。」



言われてみれば……。



「でっでも、こっちが走ったら走ってくるし誤解されても仕方なっ……」



「これっ!」



そう言って半分キレ気味に仁が差し出したのは、私がいつも通勤に利用している『定期券』だった。



えっ……あれ!?



なんでこれ……。



「駅のとこで落としたんだよ。」



「……えっ、あっ。」



これを渡そうとして?



「あっ、ありがとう。」



なんだ……。
意外に親切なんだ。



少し微笑んで、仁の手から定期券を受け取った。



「ったく、面倒臭ぇ女。」



えっ……。



ボソッとそう吐き捨てて、仁はエレベーターに乗ってドアを閉めた。



なっ……



なっななな



なんなのあいつ!!



しかもエレベーター、私も乗るんだけどっ!!



キィィ!!ほんっとムカつく!



嫌な奴!!



興奮状態で部屋に帰って気付いた。



よく考えてみると、まともに話したのはこれが初めてだな。



話してみて思ったけど……



やっぱりキライっ!!

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