キミのとなり。
「でもおもしろいねぇ~最初からなんか馴れ馴れしいというか、変な温度差感じてたんだけどまさか関西人だったとは。」



「俺あかんねん。敬語でしゃべろうとすると上手く標準語にできひんから愛想ない奴とか思われてしまうねん。」



急に弱気になった彼がなんだか可愛かった。



「別に無理して標準語にしなくてもいいんじゃない?」



「大阪から異動になる時、東京では出来るだけ標準語でしゃべれって言われて……関西弁だと電話対応とか外回りの時に困るから普段から練習しとけって。」



「え~何それ。私は全然いいと思うけどな、愛嬌があって!」



「ほんまにぃ!?」



彼は立ち止まり私の両手を思いっ切り握り締めてそう言った。



「……うっうん、個性的でうっ羨ましい。」



「うわぁ~めっちゃうれしい!」




興奮した様子で私の手を揺さぶり、その内ガシッと私に抱き着いてきた。



「ありがとう!!」



「……いっいえいえ。」



私は周りを気にしつつ彼をなだめるように腕を離した。



関西人って大胆なのかな。


「これってそうかも!」



突然彼がなにか閃いたようにそう言う。



「なっなにが!?」




そう聞く私の方に顔を向けると、こぼれそうな笑顔でこう言った。



『運命の出会いやで!!』


なっ……



何!?



呆然としている私をまたハグする。



『ほんまにあるんやなぁ~赤い糸って!!』



勝手に一人盛り上がる新人くんをただただ呆気に取られて眺めるしかなかった。



これは、またまた面倒な事になりそうな予感……。

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