キミのとなり。
夢の叶う部屋
仁と連絡を取らなくなってから気がつけばひと月が経っていた。



もう、ひと月も顔見てないんだな。



新しい生活を始めよう…



そうすれば気持ちも切り替えられる。



そう考えた私は不動産屋に足を運んだ。


「2DKぐらいの広さで、会社からそう遠くなくてー近くにコンビニもあって…駅から徒歩10分以内!なんてとこ、あります?」



「ちょっと待ってねー」



目の前で、眼鏡をかけたお爺さんが必死に不慣れな手つきで私が言った情報をパソコンで検索している。



“カチッ……カチッ……”


うっ、打つの遅っ。



「おおー…あったわい。条件にピッタリの所が一件!」



「ほんとぉ!?」



お爺さんが持って来てくれた資料を見てみると、確かに私の思い描いていた間取りだし、周辺環境も言うことなかった。



でも……、



何故か少し引っ掛かりを感じた。



「ここじゃわい。」



そのマンションを見物しに行くことになり、お爺さんの危なっかしい運転で現場に着いた。



途中から嫌な予感はしていたけど、案の定私の予感は的中した。



そのマンションは、以前私が一人暮しを始めた時に住んでいたマンションだった。



そう、仁に出会ったマンションだ。



「あのぉ~」



「ちょうど3階が一部屋空いててなぁ…」



耳が遠いのか私の話しなど聞かず、どんどん階段を登っていく。



仕方なくその後に続いた。


「ココ、ココ…」



お爺さんは鍵を取り出してドアを開ける。



えっ……



ここは…


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