赤い狼と黒い兎


ひまくんはぎろりとあたしを睨んで、あたしは笑いながら首を傾げた。



『何?言葉が判らないくらい頭が悪いの?』

「っ!このアマッ!!」

「ひま!」

「やめろ向日葵!」



ガタッ!と立ち上がったひまくん、もとい向日葵くんを唯兎くんと龍希くんが止めた。



『……アンタ、そっくりだね』

「ああ!?」

「馨、ここで暴れたら、言い付けるわよ」



そう加奈子に釘を刺され、睨めば睨み返された。

…チッ、せっかく面白いもん見付けたのに。



『あーあ、先生に脅されちゃったやあ〜』

「すごい棒読みね」

『え〜?』



ニコニコ、…いやにまにまと笑っていればチャイムが鳴り響いた。

おお、1時間目(?)おわったー。



「ほらひま!落ち着いて」

「………。」

『……何?言いたい事でもあんの?』

「馨!」

『へーへー』



べーと舌を出して、両手を少しだけ上げた。



「お前……」

「ひま?」



あたしは向日葵くんを見つめ、言葉の続きを待った。



「気味悪りぃ」

『………』

「こら向日葵!女の子にそんな事言うな!」

「馨?ごめんな、向日葵の事は気にしないでいいからな?」



龍希くんと唯兎くんがそう言った。

あたしは「ははッ」と小さく笑って向日葵くんに



『アンタ、女の子みたいでかわいいね』



嫌味っぽく、本気で言ってやった。

すると、顔を真っ赤にさせて怒り教室を出ていった。



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