水に映る月
 

慧は、警察に捕まっていなかった。

ただ、返事が出来なかっただけ。


その理由が精神的なものなのか、物理的なものなのかは、訊けなかったけど‥。



─ 良かった

  曽根警に行かなくて‥



「暖房、強くする?寒い?」


そう訊いたあたしに、彼は


「純ちゃんが暖めてや。」


って、言った。


「え?」


途端、DOKIDOKIと心臓が煩く騒ぎ出した。


慧は、あたしを見つめ


「おいで‥。」


って、両手を広げた。


 
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