水に映る月
 

阪神電車の駅に辿り着き、自動券売機で切符を買った。


「純、バイトは?」


改札口を抜け、清香が訊く。


「昼から。」


答えながら、ホームへと歩く。



あたしはメンズのブティックで、バイトしている。

それなりに稼がなきゃって。


夜の世界なら楽に稼げるかもだけど、飛び込む気は無い。

清香と違って、売りや援交なんてのも、あたしの性には合わないし。


だけど、それだけじゃなくて‥。


お金で繋がる関係には《その場限りの愛》さえ生まれないでしょ?


ってのが、あたしの持論。



丁度、ホームに入って来た電車に乗って、あたし達は梅田に向かった。


 
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