ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

「まったく、なんてことかしら」
 椅子に身体を沈み込ませながら、シイナは大きく吐息をついた。
 マナとユウの捜索は、思うようにははかどらなかった。
 無理もない。いくら小さな島国とはいえ、それは、他の大陸と比べてのことだ。
 ドームは、島の中心よりやや南に位置している。
 気象すらコントロールし、苛酷すぎる環境を克服したとはいえ、無理な変動はどこかに歪みを引き起こす。
 穏やかにめぐる四季に対して、少しでも無理を避けようとしての対策であった。
 登録上の全ての人間とクローン達が南へ下った今、北はすでに彼等にとって未知の世界であった。
 減少しすぎた人口と進んだ科学力のために、穀物等を育てるための広大な土地を確保せずともよくなったのだ。
 打ち捨てられた建造物は廃墟と化し、各地に無残な姿を残している。
 多分、そのどれか一つに、ユウ達は隠れ住んでいるのだろう。
「マナ……」
 マナの身が、シイナは何より心配だった。
 外の世界で、どんなに恐い思いをしているだろう。
 どんな苛酷な生活を強いられているのだろう。
 考えるだけでいてもたってもいられなくなり、シイナは振り切るように部屋を出た。
 探しに出たい自分を押さえ、仕事に戻らなければならない。
 感情を静かに押さえる。足早だった彼女の歩みが、徐々に戻っていく。
 緩いカーブを描く廊下から直線に移動し、エレベーターへ向かう。
 その時、温室を見ているフジオミの姿を捕らえた。
 足音に気づき、フジオミが振り返る。
「やあ」


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