誘拐犯は…神様だったのです!




お礼は何回言っても足りない


それほど、私には価値のあるものだし…何かお礼をしたい



「あの…」

「はい」

「何か、お礼をさせて下さい」

「…え?」


ポカーンと口を開ける彼に私は慌てて言葉を続ける


「あ…その、逆ナンとかではなくて…そのっ」


パッと頬が赤くなり、手を左右に振りながら否定するとフッと口元が緩む


「ありがとうございます。気持ちだけ受け取っておきます」


「……あ」


「それでは、私は少し用事がありますのでそろそろ失礼します」


そ、そんな…

本当に素直に、拾ってくれたお礼がしたかったのに…

でも、用事があるなら仕方がない。さっき出会ったばかりの彼にこんなことを言う私も悪い



「わかりました…引き留めてすみません。でも、もう一度言わせて下さい。本当にありがとうございます」


「あぁ、なんて律儀なんでしょうね」

「え?」


「私、貴女をとても気に入りました」

「……へ?」



スッと私の手を取り、チュと指に軽く唇が触れる



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