恋と上司の甘い相関関係
じわりと滲んでくる涙を堪えながら、あたしはある人物のデスクの方に目を向ける。


──結城さん…


もう帰ったのか、辺りを見ても彼女の姿はなかった。



ダメだ…疑ったら……


何の証拠もないのに。


そう思っても、黒い感情はどんどん湧いてきて抑えきれない。


あたしは深いため息と共に机に肘を付いて頭を抱えた。



…だけど考えてても仕方がない。


データが消えてしまった以上、もう一度やり直すしかないんだから。



ぞろぞろと帰っていく人達の中、あたしは重い手を動かして再びパソコンのキーを打ち始めた。






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