失恋の先にあったもの
「すっ、すみませんっ!邪魔でしたね!」



考え事してて他人に迷惑かけちゃうなんて。


やっぱり1人カラオケも効果なかったのかな…。



「あっ、やっぱりー。瑠愛ちゃん先輩だー。」



え?


その人の顔を見る。



「翔くん?」


「そうそう。」



彼はそう言うとニコッと笑う。



翔くんとは、私の仲良しな友達の弟くん。
篠崎 翔(シノサキ カケル)



なかなか私に懐いてくれていて、“瑠愛ちゃん先輩”なんて可愛く呼んでくれる。



「どうしたの?こんな所で。」


もう8時を過ぎている。


彼は私の1つ年下で、今年同じ学校に入ってきた。



「あっ、そうそう。瑠愛ちゃん先輩、この前喧嘩見なかった?」


「喧嘩?」


「うん、確か3日ぐらい前。」





「んー、あっ、見たかも。」


ちょっと考えてから答えると、翔くんはブハっと吹き出した。



「見たかもってより助けたでしょ。」



「…はい。」





なんで知ってるんだろ?





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