ヨカナーンの首
私の手の中。

頭に思い描いたのと寸分違わぬ彼。


なめらかな肌。
つややかな黒い髪。
あざやかな唇。

ああ、彼はやはり美しい。



「与加那、与加那。

やっとあなたの名を呼ぶことができた。

触れることができた。

見つめることができた。


うれしいでしょ、ねえ与加那。

本当はもっと前から見たかったんだけど、そんなことはもういいの。

これからは、ずうっと見つめていてあげる。


ねえ、だから与加那、付き合ってよ。

付き合ってくれるって言ったよね。

じゃあ、キスしよう。

恋人の証だから」


彼にキスして、私はふと、不思議に思った。



「ねえ与加那。

どうしてさっきから黙っているの」


私はあなたの声を聞きたかったのに。




――終


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