こちらミクモ探偵事務所3

夏紀は彼の手を借りると、フラフラと立ち上がった。
丸三日近く、何も食べていないのだろう。
足取りがおぼつかない。

「取り敢えず、ここから早く出よう」

「……何で?」

「誘拐犯が近くにいるかもしれない。バレたら一貫の終わりだ」

「……うん」

最早夏紀は心身喪失状態。
成り行きに任せるように、力なく頷く。

紘哉はそんな彼女の手を引き、蔵を出ていった。

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