こちらミクモ探偵事務所3

こんなものいつ書いたのだろう。
少なくとも、紘哉が来ている間に書いたと言うことは分かっている。

『行ってきます。すぐ帰ってくるから』

そう言って、芳樹は家を出ていった。
あの時の光景が頭に蘇る。

「……バカ。次会ったら一発ぶん殴ってやる」

手紙の上にポツポツと染みができる。
泣いていると気付くのに、そう時間はかからなかった。

紘哉は顔をあげ、もう一度芳樹を見る。
相変わらず安らかな顔でいる。

「……さようなら」

彼はそう呟くと、霊安室を出ていった。

< 186 / 217 >

この作品をシェア

pagetop