悪魔の花嫁

「なっ・・・なんなんだ!!!!」

漆黒の羽を生やし、大鎌を持ち、空を飛ぶ人間を目の前に、男達は目を見開く。

現実ではありえない生き物に驚きを隠せない。

男達には愛士が見えている。死神の鎌に切られた者はその持ち主が見えるようになるのだ。

愛士は怯えるそんな彼等を見据えた。

人の命にはあんなに無関心だったのに、いざ、自分の身に危険が降りかかるとこの慌
てよう、全く理不尽だ。

「その理不尽さは身を持って知ってもらおうか・・・。」

愛士の顔付きとその発する声の低さにそこにいた全ての者が凍く。

男達はもちろん、小鳥達や虫、小姑である華までもがその場から動けなかった。

その、凍りついた空間は数分続いただろうか・・・、愛士が鎌を肩に抱えなおした時、その時は崩れる。

ずっと、上から見据えていた男達に向かって降りて行く。

突然、動き出した愛士に、男達はつられるように逃げだした。

恐怖で体の動きが鈍っているのだろう、走る足はおぼつかなくて、四つん這いになって逃げる者もいる。

愛士は鎌を振り上げ
「お前等の命を削りとる!!!!」
彼等の胸全てに、死神の鎌を突き刺した。






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