久遠の花〜 the story of blood~


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 幼い頃、不思議な人に出会った。

 本気でオレのことを心配する、変わった女。

 期限付きとはいえ、オレは何をされても死なない。だから心配なんて必要も無いし、誰もそんなことを言う者などいなかったのに――。

 初めてその人を目にしたのは、村の殲滅を言い渡された時。自分の後ろには誰もいなかったはずだが、、突如として、その女は現れた。

 そしてオレに、どうして殺したのか、と悲しそうに聞いてきたのを今でも覚えている。

 しつこい女に、オレは命令を邪魔する者だと認識し、威嚇として切りつけた。そして次は、殺すつもりで斬りつけたというのに――そこにはもう、女の姿は無かった。

 それから何度か、女を目にする機会があった。その度にオレは、女に刃を向け続けた。

 首や腹、心臓と。切りつける度に血は溢れ、これで死ぬと思ったのも束の間――女はまた、姿を消してしまった。

 何度目かの殺害の時。ふと、あることが頭に浮かんだ。

 致命傷を与えても死なない。だとすると……自分と、同じなのではと。

 途端、体が震えた。

 いわゆる〝嬉しい〟という感情を知った瞬間だろう。この時から、オレは【生きる】こと。何より、【感情】というものを知っていくようになった。


 次に会えたら、話してみようか。

 いつしか、そんなことも考えるようになった。





 思えば――この時から。





 紫の瞳をした彼女に、魅入られていたのかもしれない。


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