wild poker~ワイルドポーカー~

「……仕方がないな」

そう小さく呟いて、着ているシャツの胸ポケットからカードを取り出す。

《スペードのA》

そのカードを手にしたまま、そっと右肩に手を触れる。

そこにはこのカードに書かれているのと同じ様に、黒いスペードのマークとAの文字が刻まれていた。

たちの悪い冗談の様な今の状況を皮肉る様に、フンと鼻で笑ってそのまま歩き出す。

特に目的もないまま、とえあえず緑の光に向かって歩き続ける。

恐らく自分を示している青い点の横には三角のマークが付いていて、どうやら向いている方向が分かるらしい。

トコトコと何も無いだだっ広い草原を歩きながら、そっと空を見上げて見る。

するとそこには抜ける様な青空が広がり、眩しい太陽が燦々と光っていた。

そんな空をボーっと見上げながら、どれぐらい歩いただろうか。
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