wild poker~ワイルドポーカー~
伝心 【side‐J】

あの洞窟エリアの境界線を越えてから、俺達は何度もエリア移動を繰り返した。

草原エリアに雪山エリア、またも森エリアに出たかと思えば、最悪な火山エリア。

そんな所をグルグルと回りながら、街エリアに行き着くまで、エリア移動を繰り返し続けた。

幸いな事に途中危ない目に遭う事は無く、疲労で重たい身体を引き摺りながら、必死に街エリアを目指し続けた。

それから何度もエリア移動を繰り返し、もう何度目かのエリア移動かも忘れてしまったが、やっとの事でついに街エリアへと出る事が出来た。

「やっと……出た」

目の前に見える無人の街並みを見つめ、力尽きた様に地面に崩れ落ちる。

すると隣に立っていた霧島さんも、俺の横へとそっと腰を下ろす。

「……ここからあのビルまで、どれくらい?」

その霧島さんの言葉に、ハァハァと少し呼吸を荒げたまま、腕に嵌めた【マーク】を見る。

「ここからだったら東に向かって……一時間くらいかな」

その俺の答えに霧島さんは小さく頷いて答え、そんな彼女を横目に胸に抱えているコウモリに視線を落とした。
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